美咲町中垪和に立つ天台宗奈良坂山宝寿寺は、幼名辰大郎が5歳のとき3キロも離れた大瀬毘集落から友人くろだくいち(岸田吟香・杉浦正著より)らと、ここで行われていた寺子屋に通ったいわゆる吟香が巨大な夢「大魚は小池に游ばず」を抱く原点となった寺です。
岸田吟香を語り継ぐ会は、吟香の誕生日である4月28日(金)、青野高陽美咲町長(会顧問)や地域の方、檀家、愛好者ら30名を招待し生誕190年を祝う「語る会」を行った。
午前10時、境内に植樹した桜と記念撮影をした後、場所を室内に移し、宝寿寺森定圓敬住職(美咲町原田)の法楽にはじまり、語り継ぐ会副会長・草地浩典氏によるビデオ講話、終わりに西洋文化をいち早く取り入れ日本の近代化に貢献した吟香を偲びながら懇親会を行った。
本来なら、草地副会長生の声を聞く予定でしたが、体調を崩されたこともあり事前に収録したビデオでの講話になった。主な内容は、昭和18年(1943)、昭和女子大学の学生・牛丸綾子さんが文学遺跡巡礼の旅に出て当地を訪れた時のことを、今は亡き岸田尚氏(美咲町栃原)の記憶をもとに聞き取ったもの。
懇親会では、吟香研究家杉山栄氏の資料については杉山健二郎世話人(岡山市)から、また伯母としの嫁ぎ先光元家の資料については光元正夫世話人(久米南町)、栃原で開業していた斎藤玄立医師の資料については斎藤孝義世話人(岡山市)が、それぞれ説明を付け加えるなど有意義なひと時を過ごした。
当日は、吟香に関心を持つ若い女性も参加、寺総代の時澤幸生氏(中垪和)は、「ネットに載ったことで寺を訪れる人が増えている。高齢者だけの地区も話題が増え嬉しい。今後道案内板も考えなければ」と話していた。
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