標高500メートル、雲の上に浮かぶ曹洞宗幻住寺(久米郡美咲町北:清涼太順住職)で、9月28日夜、琵琶奏者による弾き語り「平家物語最終章・源平合戦最後の一年が行われ、町内外から100人もの愛好者が集った。
この日はどんよりした雲が浮かび、幻想的な夜となった。
会場の本堂は消灯され燈明の光に女性奏者が浮かぶ。庭園からは虫の声が聞こえ、マイクを通さず弾き語りが始まった。
「ベベーン」鋭い切り口のバチさばきと抑揚をつけた語りは、聴く人を2時間にわたり釘浸けにした。壇ノ浦の合戦の場面が目前に現れるようだった。
語りは(安徳天皇)を抱え海に飛び込むところで終わったが、本堂に置かれた竹灯篭からこぼれる光と影が会場の雰囲気を後押ししていた。
休憩時、奏者の桜井亜木子さん(東京都)と田代旭美さん(東京都)から、薩摩と筑前琵琶の違い、バチの違い、仏教で欠かせない琵琶の紹介があった。
終わりに、東日本大震災や真備大水害の復興を願い「花は咲く」を全員で歌うなど、みなさん秋の夜長をゆっくり楽しんでいた。
参加していた田村辰正さんは、聞くのは二度目だが、琵琶の音色は寺院とよく合い、源平合戦の語りも、事前の解説でよく理解できたと話していた。
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